これでもう迷わない!データ入力の外部委託先企業の選定ガイド
データ入力業務は業界・業種問わず発生する業務ですが、近年は人材不足や業務効率化の観点から外部委託するケースが増えています。一方で、データ入力業界自体は縮小傾向にあり、多くの企業が撤退するなか、技術と実績を持つ企業だけが生き残っています。
本記事では、業界の動向や専門技術、データ入力の外部委託先企業を選ぶ際の重要ポイントなど品質を左右する要素まで幅広く紹介します。
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・まとめ
データ入力業界の現状と外部委託の動向
企業におけるデータ活用の重要性が高まるなか、その基盤となるデータ入力業務の在り方も大きく変化しています。ここでは、データ入力業界の現状と外部委託の動向について解説します。
縮小傾向にあるデータ入力業界の現状
2020年の新型コロナウイルス感染拡大における緊急事態宣言以降、在宅ワークの普及が急激に増加したことをきっかけに、ペーパーレス化およびDX化(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進み、企業の業務プロセスや働き方に大きな変革をもたらしました。
このDX化の波は、データ入力業界にも大きな影響を与えています。AI-OCR(光学式文字認識)技術などの進化により自動化への移行が進む一方で、従来の人手によるデータ入力の需要が減少し、業界全体としては縮小傾向にあることは否めません。
そのほか、クラウドサービスの普及や企業の内製化傾向も相まって、従来のビジネスモデルだけでは生き残りが難しい状況に直面していると言えるでしょう。
データ「入力」支援から「活用」支援のパートナーへ
現在、このような市場環境の変化を受け、データ入力の専業ではなく、他のビジネス領域へシフトする企業が増加しています。大手データ入力代行企業の多くは、以下のような新規事業分野に注力するようになっています。
・データ分析・活用のコンサルティング
・AI・RPA導入支援サービス
・特定業界に特化した専門的なデータ処理
・事務業務の総合的なアウトソーシング
最近では、特に単純なデータ入力サービスから、より付加価値の高い総合BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスへ参入する企業が増えてきています。
こうした企業は、単なるデータの「入力」支援から「活用」を支援するパートナーへと自社の立ち位置を変革し、低価格競争から脱却するための戦略を取っています。
技術と実績で生き残るデータ入力企業の特徴
上述したように、他のビジネス領域に参入しているデータ入力企業の中でも、長年の実績により信頼性を持たれる企業では、継続してデータ入力業務を代行しています。そのような地位を築いている企業には以下の3点の特徴が挙げられます。
1.高度な入力技術を開発・導入している
企業によっては、専用の入力機を利用した「エントリー&ベリファイ方式」や「連想方式」などの入力に特化した技術により、入力効率の大幅な向上を実現させています。ここでは上記2つの入力方法について詳しくご紹介します。
■エントリー&ベリファイ方式
エントリー&ベリファイ方式は、2名のオペレーターが同じ書類を独立して入力し、内容を照合する方式です。
1人目と2人目の入力が一致しなければその場でエラー音が鳴り、正しく修正するまで先に進めない仕組みになっています。これにより、エラーをリアルタイムで検出・修正でき、高い精度を実現しています。
■連想方式
連想方式は、漢字を効率的に入力するための専門技術です。各漢字に2つのカナ文字を対応させ、それを入力するだけで漢字を表示させる方法です。
例えば「車」という漢字は、一般的なローマ字入力では「kuruma」と入力後に漢字へ変換するため8~9タッチ以上必要ですが、連想方式での入力であれば「カ」「ア」(英語の”car”から連想)の2タッチだけで入力できます。タッチ数を大幅に削減できるだけでなく、変換候補選択が不要なため誤変換も防止できます。
■書類のスキャニング技術
上記に加え、データ化においては入力だけではなく、紙媒体の文書や資料をスキャンして電子データに変換する技術もあります。
例えば、大量の定型サイズ書類を効率的に処理するには、ADFスキャニング(自動原稿送り)が用いられますが、裁断が必要な冊子や形状が不規則な原稿に対しては、フラットベッドスキャニングが活用されています。
さらに、スキャンしたデータはOCR技術などを用いて編集可能な形式に変換したり、検索しやすいようにインデックスを付与したりすることも可能です。
これにより、保管スペースの削減や検索の迅速化、情報共有の効率化など、多くのメリットが得られます。
2.厳格な品質管理体制をとっている
上記のような入力技術を用いるほかにも、ロジックチェック(条件や基本的なルールに基づいて入力に間違いがないかを確認すること)を実施し、多層的な品質管理を行っています。
なかには、異常値検出・AI活用(※)といった、特殊かつ確実なデータ生成のための技術を活用し、99.9%以上の正確性を実現させるために厳格な品質管理体制をとっている企業もあります。
※異常値検出:過去データと比較したり、標準偏差を利用して異常値を判定する技術
AI活用:RPAを活用した入力ミスの自動検知、データを使ってパターンを学習させて未来の予測や異常検出を行う人工知能 など
3.特定の専門分野に特化している
金融、医療、法務など、特定業界のデータ入力に特化することで、専門知識を蓄積し、競合との差別化に成功している企業も存在します。詳細は「自社業務の特性に合ったデータ入力企業を選定する」でご説明いたします。
データ入力業界が転換期を迎えているのは事実ですが、企業の「正確で安全なデータ処理」というニーズは不変的です。技術の進化と市場環境の変化に適応し、高い専門性と信頼性を提供できる企業が、今後も重要なビジネスパートナーとして選ばれ続けるでしょう。
データ入力の外部委託によるメリット
実際にデータ入力業務を外部委託することで、得られる効果について解説します。
大きく分けて4つのメリットが挙げられます。
1.ノンコア業務の切り離しによる業務効率化
データ入力は直接的な収益や企業価値の創出には結びつきにくい「ノンコア業務」に分類されます。この業務を外部委託することで、自社の人的リソースをより価値創造的な「コア業務」に集中させることができます。
また、単に業務を「外に出す」だけでなく、業務の可視化と標準化を促進し、業務プロセス全体を見直す契機にもなります。業務を見直すことで、ボトルネックとなっていた工程の解消にも繋がるでしょう。
2.コスト構造の最適化
データ入力業務を外部委託することで、自社内で対応する場合と比較して、費用対効果が得られる可能性があります。
■人件費削減による効果
外部委託することで繁閑に応じた適切なリソース配分を実現することが可能となり、閑散期のリソース余剰を防止できます。
また、自社での入力業務が必要な場合、アルバイトや派遣社員を都度採用・教育する必要がありますが、このような間接的にかかるコストも削減することが可能です。
■固定費から変動費への転換
自社内でデータ入力を行う場合、人員の確保や設備に関する固定費が不可欠ですが、外部委託することでこれを変動費に転換できます。
・業務量に応じた従量課金へのシフト
・繁忙期・閑散期に合わせた柔軟なコスト調整
・設備投資や保守費用の削減
この固定費の変動費化は、特に業務量の変動が大きい企業や成長フェーズの企業にとって、経営の安定性と拡張性を両立させる上で重要です。
3. 品質保証とサポート体制
専門企業の多くは、明確な品質基準とサポート体制を整えています。
・SLA(サービスレベル合意)に基づく品質保証
・エラー発生時の無償再処理対応
・定期的な品質レポートの提出
・改善提案の実施
こうした体制により、データ品質に関する不安を軽減し、安心して業務を委託できる環境が整います。
4. リスク分散効果
データ入力業務の外部委託は、以下のようなリスク分散効果ももたらします。
・人員の急な不足や退職リスクの軽減
・業務知識の属人化防止
・災害時などの業務継続性確保
・法改正時(例:プライバシー保護やデータ管理に関する法律の変更等)の対応力の比較検討が可能
・技術革新においてそれぞれの企業が得意とする技術の活用が可能
これらの効果により、長期的な視点でのビジネス安定性が向上します。
データ入力の外部委託先企業の選び方
データ入力業務の外部委託についてメリットをご説明してきましたが、数多くのデータ入力企業の中から、自社に合う最適な企業を選ぶのは容易なことではありません。ここでは、失敗しないサービス選びのための3つの重要ポイントを詳しく解説します。
自社業務の特性に合ったデータ入力企業を選定する
データ入力業務と一口に言っても、業種や取り扱うデータの性質によって求められるスキルや知識は大きく異なります。自社の業務特性に合ったデータ入力企業を選ぶことが、高品質なサービスを受ける第一歩です。
■書類特性による選択
書類やデータ内容の特性によって最適な処理方法が異なるため、その企業の特徴を確認してから選ぶようにしましょう。
以下のような具体的な質問が有効です。
・同業種の企業への導入実績はあるか
・特殊なデータ形式の処理経験はあるか
・業界特有の用語や規制についての知識はどの程度あるか
・類似案件でのエラー率はどの程度か
・書類のサンプルを提供して小規模なテスト入力は可能か
回答の具体性と説得力から、その企業の専門性の深さを判断することができます。表面的な「対応可能です」という回答ではなく、具体的な実績や方法論を説明できる企業を選びましょう。
■業界特化型の専門性
金融、医療、法務、不動産など特定の業界に特化したデータ入力企業は、その業界特有の用語や書式に精通しています。例えば医療分野では、専門用語や略語の知識が不可欠ですし、金融分野では数値の正確性と機密性への高い意識が求められるため、自社の業界に精通した企業を選ぶことが重要です。
セキュリティ基準の適合性を確認する
データ入力の外部委託においては、情報セキュリティは最も重要な要素の一つです。特に個人情報や機密情報を含むデータを扱う場合は、委託先のセキュリティ基準が自社の要件に適合しているかを詳細に確認する必要があります。
委託先企業が上記のセキュリティ対策をどの程度実施しているかを確認し、自社のセキュリティポリシーに適合しているかを判断することが重要です。企業によっては自社対応と謳いつつ、在宅やオフショアでの対応を含めるケースもあるため、特に個人情報や機密情報を含む書類のデータ化を依頼する場合は、可能であれば委託先の作業環境を直接視察することも検討すべきでしょう。
特にクラウドサービスなどを利用する場合は、総務省による「国民のためのサイバーセキュリティサイト」においても注意喚起がされているように、十分な対策が必要です。
参照:総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/)
さらに、上記の対策を講じているかの確認とあわせて、セキュリティレベルを客観的に判断する指標として以下の認証取得状況を確認することもおすすめします。
・プライバシーマーク:個人情報保護の体制が整っていることの証明
・ISMS(ISO27001):情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格
・業界特有のセキュリティ認証(医療情報や金融情報を扱う場合)
まとめ
データ入力業務の外部委託を成功させるには、単純な価格比較ではなく、総合的な視点での選定が重要です。
業界は縮小傾向にありますが、エントリー&ベリファイ方式やスキャニングなどの効率化技術と厳格な品質管理体制を持つ専門企業は高い価値を提供し続けています。
外部委託によってコア業務への集中、人件費削減、品質向上といったメリットを最大限に引き出すためにも、「最安値」や「最大手」ではなく、「自社に最適」な企業を選ぶことを心がけましょう。
国和システムでは、厳格なセキュリティ体制のもと、入力専用機を使用して「エントリー&ベリファイ方式」や「連想方式」に対応しております。
会員申込書/商品注文はがき/サービス申込書/キャンペーン応募はがき/振込口座申請書/アンケート/名刺など、規模を問わず多業界・多業種の入力実績があります。
さらに、特定個人情報であるマイナンバーを取り扱った業務の実績もございますので、その点でもご安心いただけるかと思います。
「入力精度に課題を感じている」
「個人情報を含むデータ化の委託を検討している」
「処理の多寡に関わらず、入力の精度を向上させたい」
など、入力業務でお困りの方は是非一度ご相談ください。
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