BPOの費用対効果を解説!計算方法や見落としがちな費用とは?
人材不足と業務効率化が喫緊の課題となるなか、多くの企業がBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)導入を検討しています。
しかし「本当にコストメリットはあるのか」「内製化と比べてどの程度の費用対効果が期待できるのか」といった疑問を抱く経営者や担当者も少なくありません。BPO導入が成功するか否かは、正確な費用対効果の算出と適切な委託先選定にかかっています。本記事では、費用対効果や算出時に気を付けるポイント、BPOの委託形態の違いを徹底解説します。
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・まとめ
BPO費用対効果の定義
本記事では、企業がBPOを導入することで得られる効果を、「単なるコスト削減」にとどまらず、以下のような多面的な観点から定量的に評価し、費用対効果として捉えて解説します。
・コア業務への集中による売上向上
・専門知識の活用による生産性の向上
・業務品質の向上およびそれに伴うリスクの軽減
・経営資源の最適な配分
内製化とBPOの基本的なコスト構造の違い
まずは、自社で対応している場合(内製化)と、外部委託する場合(BPO)の基本的なコスト構造の違いについて確認しましょう。
内製化の場合、設備投資費などの固定費に加え、業務量の増減にかかわらず人件費、システム維持費、教育・研修費といった継続的なコストが発生します。一方BPOの場合、案件にもよりますが、委託費用は業務量に応じて調整できることがほとんどです。さらに、BPO事業者が持つ専門知識やスケールメリットにより、単位あたりのコスト効率が向上する効果も期待できます。
このような構造の違いにより、業務量が変動しやすい業務や専門性が必要な業務においては、BPOの費用対効果が特に高くなる傾向があります。
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内製化からBPOへの移行による費用対効果の確認方法
内製化している業務を、BPOに移行することで得られる費用対効果を正確に把握するためには、現状の原価分析から始まり、適切な業務選定、そして具体的な削減効果の算出まで、体系的なアプローチが必要です。
ここではBPOを活用する際、どのようにして費用対効果を算出すればよいかを解説します。
① 業務のコスト分析と原価を算出する
まずは、委託を検討している内製化業務の原価を算出します。
内製化業務の原価を正確に算出するには、「直接費」と「間接費」の両方を含める必要があります。
直接費とは、担当者の人件費(基本給や賞与に加えて、社会保険料や福利厚生費などを含む総人件費)、システム利用料、消耗品費など、業務に直接かかる費用のことを指します。
一方間接費は、管理業務にかかる人件費、オフィス賃料、光熱費、教育研修費など、企業全体で発生する費用のことを指します。場合によっては属人化のリスクを考慮して、もしもの時に備えて、業務をカバーできる人を用意しておくための費用も考慮する必要があります。
② 投資収益率(ROI)を計算する
原価の確認や、外部委託費用の確認が終わったら、投資収益率(ROI)を確認しましょう。
ROIとは、投資によって得られた利益が、投資額に対してどのくらいの割合だったかを示す指標のことです。BPOの費用対効果を客観的に測定するためには、このROIについて、適切な計算手法を理解し、投資判断に活用することが重要です。
計算に必要な要素は「投資額」と「利益」の2つです。
投資額には導入にかかる費用を計上し、利益には投資によって得られる効果を換算し、ROI計算式にあてはめて算出します。ROIが高いほど投資効率が良いと判断され、通常は複数年にわたる効果を考慮して評価します。
投資額には年間の運用費だけではなく、初期費用や導入にかかるマネジメントコストなども考慮しましょう。また、利益要素として換算する情報は、単なる経費の削減だけではなく、生産性や業務品質の向上や、従業員満足度の向上なども加味すると良いでしょう。関係各所と連携しながら綿密に算出していくことが求められます。
詳しい計算方法などはゾーホージャパン株式会社様が展開している下記のリンクよりご確認ください。(※外部のリンクへ移動します)
Zohoビジネスアカウント:しっかり基礎シリーズ「ROIとは」
③ 最適な委託形態を選択する
BPOの委託形態は、業務の実施場所によって外部委託型(オフサイトBPO)と常駐委託型(オンサイトBPO)に分けられます。
オフサイトBPOとは、受託企業の自社拠点で業務を遂行する形態のことを指します。それに対してオンサイトBPOは、委託先のスタッフが依頼企業の拠点内で業務を遂行する形態を指します。
それぞれ異なるメリット・デメリットを持つため、委託を検討する際には業務の性質や求める効果に応じてどちらを選択するかを検討しましょう。
■ オフサイトBPOの費用構造とメリット・デメリット
オフサイトBPOは、一般的にコスト削減効果が期待できる点がメリットとされています。設備投資や光熱費、オフィス賃料などのインフラ費用が不要なほか、地方を拠点とする委託先の活用により人件費の削減も見込めます。さらに、委託先が自社とは異なる地域に複数の拠点を持っている場合は、BCP対策(事業継続計画)としても有効です。例えば、東京の委託先企業が九州や北海道など地理的に離れた地域にも拠点を持つ場合、首都直下地震などの大規模災害時でも業務継続が可能になります。
一方、デメリットとして、運用状況の把握にタイムラグが生じやすく、緊急時の対応が遅れる可能性があります。そのため、複雑な業務や頻繁な変更が必要な業務では、Web会議システムやクラウド型の情報共有ツールを活用して、綿密なコミュニケーションを取ることが重要です。
■ オンサイトBPOの費用構造とメリット・デメリット
オンサイトBPOは、自社のセキュリティルールやIT環境内で業務を行うため、アクセス管理や情報統制がしやすいことや、機密情報を持ち出すことなく作業が進められる点が最大のメリットです。加えて、常駐する委託先の管理者と直接かつ密接なコミュニケーションがとれるため、業務上の要望等にも迅速かつ柔軟に対応してもらうことが可能です。
一方、デメリットとしては、作業スペースの確保、PC・ネットワークなどのインフラ整備、光熱費などのコストが継続的に発生することが挙げられます。さらに、スタッフの募集が地理的に限定されるため、専門人材の確保が困難な場合があり、委託先の選択肢が狭まる可能性があります。
双方の特徴を理解し、それぞれの方法で委託した場合どうなるのかをシミュレーションしながらどちらを選択するのが最適な形態かを検討することが重要です。
BPO導入で見落としがちな費用
ここまで、委託形態や、それに合わせて発生する費用についてお伝えしてきましたが、表面的な委託費用だけに注目してしまうと、実際の費用対効果が想定を下回る可能性があるため、隠れた費用を事前に把握し、総合的にコスト計算を行うことが成功の鍵となります。ここからはBPO導入時に見落としがちな費用についても考えてみましょう。
① 導入初期に発生するマネジメントコスト
BPO導入の初期段階では、委託費用とは別に社内での準備に多くの時間とコストがかかります。特に、これまで明文化されてこなかった業務プロセスを委託する場合、外部の委託先が理解できるよう可視化し、詳細な仕様に落とし込む作業は不可欠です。このプロセスは、現場担当者や管理者の工数をかけることとなるため、実質的なマネジメントコストとなります。ただし、上記の仕様構築作業から委託することが可能な場合もありますので、一度相談してみるのも良いかもしれません。
そのほか、委託時に新たなシステムを構築しなればならない場合は、そのための費用が発生します。(例:給与計算のための勤怠データの自動連携、企業の社内申請システムからデータを取り込む際に必要なAPI連携・CSV自動出力・バッチ転送 等)
これらの準備コストは、BPO導入の土台となる重要な投資ですが、予算計画で見落とされがちですので注意しましょう。
② 品質管理とセキュリティ対策に必要な費用
BPOは「導入して終わり」ではなく、継続的な品質管理とセキュリティ対策が求められます。
委託先選定の際に、ISMS認証やプライバシーマークなどの第三者認証を既に取得している企業を選定すれば、自社で新たに認証を取得する必要はありませんので、煩雑な認証取得などの手続きを行うことなく、十分なセキュリティ対策が講じられた環境で業務を行うことが可能です。
ただしその場合でも、
・委託先の定期的なセキュリティ体制の確認
・定期的なモニタリングによる業務が契約通りに遂行されているかの確認
・パフォーマンスを評価する会議の定期的な開催
など、委託先を管理するための社内コストが継続的に発生することに留意しましょう。
これらの点も考慮し、「何を」「どのように」「どこまで」委託するのかを明確にして、費用対効果が最大となる体制をじっくり検討しましょう。
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BPO導入の費用対効果を高める導入手順と3つのステップ
最後に、BPO導入時の費用対効果を最大化するための手順とステップについて解説します。導入時に費用対効果を最大にするには、業務選定から運用定着までを見据えた段階的な導入プロセスを設計することが重要です。適切な準備と段階的な実行により、リスクを最小化しながら期待される効果の実現に繋げることができます。
① BPO導入前の準備と業務分析を実施する
BPO導入の成功は、事前準備にかかっています。まず現状業務の詳細分析として、業務フロー図の作成、処理時間・頻度の測定、関連システムの洗い出し、品質基準・KPIの設定を行いましょう。この段階で特に重要なのは、現状のコストはもちろんですが、処理時間、エラー率などを定量的に測定し、「基準値」を持っておくことです。この基準値の設定がなければ、BPO導入後の効果を客観的に評価することが難しくなります。
KPIは、以下の内容を参考に設定してみるとよいでしょう。
・コスト(削減率、1案件あたりのコスト比較)
・品質(エラー率、顧客満足度)
・効率(処理時間、生産性)
・インシデント発生率
・設定したSLA(サービスレベルアグリーメント)の達成率
② 提案依頼書を作成し企業選定を進める
詳細な要件定義に基づき、自社の要望や前提条件を明確に伝えるための提案依頼書を作成しましょう。
提案依頼書には、
・対象業務の詳細(現状の業務量、要求する品質度合など)
・技術要件(システム連携、セキュリティ基準)
・評価基準
・契約条件(期間、料金体系、解約条件)
などを明記します。
企業選定プロセスでは、複数社から話を聞き、最終的な委託先を決定するのが良いでしょう。その際、すべての企業を同じ基準で評価できるように、チェック項目を揃えた評価シートなどを使うのが効果的です。あわせて、可能であれば該当の委託先企業を利用している企業へのヒアリング、コンプライアンス体制の監査も重要な選定要素となるでしょう。
③ 導入後の効果測定を実施する
BPO運用開始後は、継続的な効果測定と改善が費用対効果向上の鍵となります。
効果測定では、導入前に設定した基準値と目標値に対する達成状況を定期的に評価し、必要に応じて目標値の見直しや改善策の追加実施を行います。業務の成熟度や外部環境の変化に応じて、目標設定も柔軟に調整することが重要です。また、委託先企業との定期的なコミュニケーションの場(進捗会議、定期レビュー、戦略会議 等)を設けることで、パートナーシップを深めつつ、費用対効果の持続的向上が期待できます。
まとめ
BPO導入時の費用対効果を正確に計算し、最適な企業選定と導入手順を実践することで、企業は限られた経営資源を戦略的に活用できます。重要なポイントは、表面的なコストだけでなく隠れた費用も含めた現状分析と、課題に合わせた委託形態の選択、明確な目標値の設定です。
外部委託をうまく活用できれば、コスト削減効果に加え、コア業務への集中による売上向上、業務品質の改善、従業員満足度の向上など、多面的な価値をもたらします。今後ますます競争が激化するビジネス環境において、自社の競争優位性を高めながら持続的な成長を実現していきましょう。
国和システムは、東京・沖縄の2つの拠点でデータ入力、コンタクトセンター、自治体業務を中心に44年間アウトソーシング事業を展開しています。
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