コンタクトセンターとは?コールセンターとの違い・役割や委託業者の選定ポイントを解説
・コンタクトセンターとコールセンターはどういうもの?
・コールセンターとコンタクトセンターの違いは?
・コンタクトセンターが注目される理由とは?
・コンタクトセンター委託化のメリットとデメリットとは?
・コンタクトセンター委託化のメリット
・コンタクトセンター委託化のデメリット
・コンタクトセンターの活用事例
・コンタクトセンターの導入プロセス
・コンタクトセンターを委託化する際の業者選定のポイント
・まとめ
コンタクトセンターとコールセンターはどういうもの?
コールセンターは、電話を使ってお客様とコミュニケーションをとる拠点です。一方でコンタクトセンターとは、これまで一般的だったコールセンターとは異なり、電話のほか、Eメール、SNS、チャットなど、さまざまな方法でお客様とのコミュニケーションを行う拠点のことです。どちらもCX(Customer Experience)を向上させるための重要な役割を担っています。CXとは商品やサービスの購入から購入後におけるお客様視点での体験を指します。商品やサービス自体の差別化が難しくなってきている近年は、リピーターの獲得、お客様離れの防止、ブランドイメージの向上などを目的にCX向上への取り組みが求められています。
なお、コンタクトセンター、コールセンターには、ともに電話やメールなどを受けて対応する「インバウンド」の業務と、お客様に電話をかけたりメールを送ったりして対応する「アウトバウンド」の業務があります。
コールセンターとコンタクトセンターの違いは?
前述しておりますが、コンタクトセンターとコールセンターの違いについて下記にまとめてみました。
「コールセンター」は、インバウンド・アウトバウンドともに電話だけで対応するのに対し、「コンタクトセンター」は電話のほか、FAXやEメール、Webサイト、SNS、チャットなど、さまざまなチャネルを通じて対応します。コミュニケーション手段や消費者ニーズが多様化した近年では、さまざまなチャネルからの問い合わせに対応する「コンタクトセンター」が非常に注目されています。
コンタクトセンターが注目される理由とは?
新型コロナウイルスの感染が広がる社会状況の中で、さらに大きな注目を浴びるようになったコンタクトセンターは、時代に合ったソリューションとして、その市場が拡大しています。2020年度の日本国内におけるコンタクトセンターソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は5,138億円と、2019年度よりも1.5%増加しています。
出典:株式会社矢野経済研究所「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査(2021年)」(2021年11月2日発表)
小売業やサービス業だけではなく、医療機関や行政サービスなどあらゆる分野がコロナ時代の「非対面式」のソリューションとしてコンタクトセンターへの投資を行ったことが、市場拡大の要因の一つです。ちなみに、コロナ時代において自治体様とお取り組みをしたBPOサービスの事例は、前回のブログにまとめておりますのでぜひご覧ください。
コンタクトセンター委託化のメリットとデメリットとは?
コンタクトセンターを委託化することで、企業はどのようなメリットを受けられるのでしょうか?デメリットとともに紹介いたします。
コンタクトセンター委託化のメリット
コンタクトセンターを委託化することのメリットは下記の様なことがあります。
・教育、採用コストの削減
自社にコンタクトセンターを置くということは、スタッフを管理しなければならないことを意味します。スタッフを育てつつ継続して雇用することになると、コストの負担は大きなものになります。コンタクトセンターを委託化することで、スタッフ教育やスタッフの採用にかかるコストを削減することが可能です。
・専門のスタッフによる品質向上
コンタクトセンターのスタッフには高いコミュニケーションスキルが必要で、教育のためのコストと時間が必要になります。しかし、コンタクトセンターのアウトソーシングサービスを提供している企業へ委託することで経験を積んだスタッフに仕事を任せることができ、高品質なサービスを提供することが可能です。CXの向上や、トラブル時の対応力向上が見込まれます。
・スピーディな立ち上げが可能
コンタクトセンターを立ち上げるとなると新たな運営体制を構築したうえで、スタッフの採用、マニュアル作りなど数々の仕事が待ち受けていますが、委託することで経験豊富な委託会社によってスピーディなコンタクトセンターの立ち上げが可能になります。
・オフィスを確保しなくてもよい
自社にコンタクトセンターを立ち上げる場合は、そのスペースの確保が必要になります。また、お客様とやり取りをする業務の特性から、個人情報の保管・管理をする必要があります。セキュリティ面も意識しつつ、作業環境を用意しなければならないわけですから、自ずとコストがかかるというものです。外部に委託すれば、オフィスの家賃も設備投資も必要ないために、コスト削減が期待できます。
コンタクトセンター委託化のデメリット
さまざまなメリットを得られるコンタクトセンターの委託化ですが、デメリットになる部分もあります。コンタクトセンターを委託化することのデメリットと、それに対するリスク対策についてここからは説明します。
・他部署との連携が難しくなる
顧客と直接対応するスタッフにより得られる情報は、商品の開発やサービスの改善につなげられる貴重な情報です。自社で組織を構築し、スタッフを通じて得られたそれらの情報を他部署へ連携することは容易かもしれません。しかし、委託することで他部署との連携が難しくなる場合があります。
お問い合わせ対応や立ち上げ準備、運用管理など業務を委託化することで業務負荷を軽減できる一方、情報共有の体制が整っていないがゆえに他部署との連携が困難になることは、コンタクトセンターを委託化するデメリットに成りえます。
・個人情報漏洩のリスクがある
コンタクトセンターには、企業にとって非常に重要な情報が保管されています。コンタクトセンターを委託化することは、企業の秘匿性の高い情報や個人情報をも委託先に共有することを意味します。そのため、重要な情報が漏洩してしまうリスクがないとはいえません。
自社でコンタクトセンターを構築するのであれば、相応のセキュリティを用意することが可能ですが、委託となると簡単にはいきません。
コンタクトセンターの委託化によるデメリットやリスクを克服するためには、委託先を選ぶ時点から注意する必要があります。以下にデメリットやリスクへの対策方法をまとめてみました。
・サポート体制の確認
コンタクトセンターの委託先を選ぶ際は、運用面だけではなく、サポート体制を確認することが重要です。委託先と企業の各部署間でデータをスムーズに共有・活用することが可能かどうか、必ず確認しておきましょう。例えば、委託先にデータの分析能力が不足していると、お客様の声を完全に生かして商品やサービスに落とし込むことは不可能です。
・セキュリティ体制の確認
秘匿性の高い情報や個人情報を預けることになる委託先を選ぶ際は、セキュリティ体制を入念にチェックしましょう。
コンタクトセンターで実務に当たるオペレーターに、機密情報の扱い方についての研修を課しているコンタクトセンターもあります。また、オペレーターの入退室を徹底的に管理したうえで、ISMS(Information Security Management System=情報セキュリティマネージメントシステム)を導入して対策している委託業者もあるので、委託先を選ぶ際は費用やサポート体制にだけ注目するのではなく、セキュリティについても注目する必要があります。
そのほか確認すべき事項をまとめたチェックリストを弊社ではご用意しております。ご参考までにご覧になってみてください。
コンタクトセンターの活用事例
ここで弊社、国和システムで担当いたしましたコンタクトセンターの活用事例に触れさせてください。
事例その1:一般社団法人様
「コロナ禍において経済的打撃を受けた宿泊事業者様向け給付金事業の事務局運営を実施」
・対応チャネル
電話、メール、FAX、郵送(処理件数3,000件/月)
・お客様の課題
県内宿泊事業者様を対象に、申請内容の確認や補助金交付の手続きを期限内に、且つ迅速に対応する必要がありました。
・国和システムの施策
宿泊事業者様の状況に合わせてメール、FAX、電話、郵送でのさまざまなチャネルを利用いたしました。また、対応速度向上のため、電話問い合わせ対応と申請事務局の運営を弊社が一括して担わせていただきました。
・コンタクトセンター導入後の効果
さまざまなチャネルを利用することで、宿泊事業者様と迅速、且つ確実にコンタクトを取ることができました。さらに、電話問い合わせ対応と申請事務局を一元的に管理することで、きめ細かな情報連携を実現し対応速度の向上に繋がりました。結果として、多くの宿泊事業者様に対して迅速に給付金の支給を行うことができました。
事例その2:大手小売・流通業者様
「全国にある販売店からの注文受付管理、および各工場への出荷指示を行う受注センターの運営」
・対応チャネル
メール、FAX(処理件数1000件/月)
・お客様の課題
全国に販売店を持つお客様の課題は、不安定な出荷指示システムによる納期の遅延を解消することでした。コンタクトセンターの導入前は、販売店がそれぞれで工場に直接出荷指示を出していたため、工場側で混乱が生じたことが遅延の原因でした。
・国和システムの施策
弊社では、全国にある販売店からの注文のほか、出荷状況や請求、お見積り、お問い合わせ対応までをすべて集約して管理しております。
・コンタクトセンター導入後の効果
コンタクトセンターの導入により、これまで問題を引き起こしていた出荷指示が簡略化され、工場側の負担が大幅に軽減されると同時に、納期の適正化につなげられました。
弊社で収集したお客様情報、注文傾向、売上などのデータは、販売・販促、開発、製造の各部署だけではなく、経営層にも共有され、生かされています。
▼弊社事例ページは以下のリンク先からご覧いただけます。
コンタクトセンターの導入プロセス
コンタクトセンターを導入する際は、プロセスを踏んで確実に進めることが重要です。まず、取り組むべきことは「社内準備」です。
プロセスその1:社内準備
コンタクトセンターを導入することにしたのであれば、必ず目的があるはずですが、今一度、その目的を明確にしておきましょう。
そして、業務の委託範囲や委託期間、必要な人員などについて確認いたします。
プロセスその2:委託先候補の絞り込み
社内準備が終わったら、コンタクトセンター業務の委託先候補を絞り込みます。ニーズを満たしていることはもちろん、セキュリティ体制もしっかり考慮しましょう。
プロセスその3:委託先候補への課題共有
委託先候補に、現状、抱えている課題を共有いたします。委託先には、課題を解決するために必要なメソッドやシステムとその有効性を説明してもらうとともに、準備に必要なものや費用、付加価値までを含め、ソリューションを提案してもらいましょう。
なお、委託先を選択する際は、マニュアルの作成から関わってくれるところを選ぶと、社員の業務負担が少なくなります。マニュアルの作成には企業理念や商品・サービスのことまですべて共有する必要があるので時間がかかるものですが、委託先がサポートしてくれればコンタクトセンターの立ち上げまでの時間も短縮可能です。
コンタクトセンターを委託化する際の業者選定のポイント
委託業者を選定する際は、必ずチェックしておくべきポイントがあります。
社内準備のプロセスで確認した「委託化する業務」を確実にこなせるスキルを持つ人材やシステムがそろっていることは最低条件です。委託化する業務において高いスキルを持つ人材やシステムがそろっていてこそ、業務品質が向上し、コンタクトセンターを委託化する目的の達成が見込まれます。
もちろん、すでに触れたセキュリティ体制、導入実績やボリュームの急変への対応可否などを考慮することも重要です。例えば、繁忙期と閑散期では業務量に大きな差が出る場合があります。業務量の変化に応じてフレキシブルに対応してくれる委託業者であれば、コストを適正化することが可能です。
上記のように確認が必要な事項を「委託業者選定チェックポイントリスト」としてまとめました。実際に委託業者を選定する際はぜひ、本リストをご活用ください。
まとめ
コンタクトセンターについて、その役割や委託業者の選定ポイントを解説いたしました。
国和システムでは、多様化するお客様とのコミュニケーションチャネルを網羅した、新時代のコンタクトセンターソリューションを提供しています。新規事業立ち上げや事業拡大に伴い、コンタクトセンターの委託をお考えの方は、ぜひ弊社までご相談ください。親身に寄り添った委託業者となれるよう誠心誠意尽力いたします。
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